2015年9月2日水曜日

Day 14 鬱病の克服には『学問のススメ』?

 鬱病。現代病なのか、実は昔からあったが認知されてこなかったのかはわからないが、最近フトニーの父さんが、若干鬱的状態にあるという。フトニーによると、最近懸賞に当たる確率が下がっているらしく、将来を悲観し始めているのかもしれない。そんな父さんを助けたいということで、フトニーはトニーを誘って、あるカウンセリングセッションに行くことにした。

 フトニーがトニーを車で迎えに来ると、宝くじを未だに毎年当てているせいか、ますます明るいトニーの両親のはちきれんばかりの笑顔を見て、フトニーが早速鬱になった。
「あっ…、おじさん、おばさん、こ、こんにちは」と、元気なさげにフトニーがトニーに挨拶すると、トニーの父さんがフトニーに、「ほら、これで元気を出しな」と、現ナマで2万円を手渡した。するとトニーの鬱が一気に治った。「おじさん、おばさん、行ってきまっする!!」とフトニーが言って、トニーと一緒にカウンセリングに向かった。


 カウンセリングセッションが行われる会場前の入口に着くと、顔色が冴えない20名ぐらいの人たちが集まっていた。皆会場内には入っておらず、一枚の張り紙を見ていた。
「本日カウンセラーは鬱病で出席できません」
 当惑していた人たちや父さんのことを思い、フトニーは張り紙に書かれていた電話番号に電話をしてみた。すると、カウンセラーの奥さんが受話器に出て、今から家に来てほしいと言う。フトニーは、トニーと一緒にカウンセラーに会うことにした。


 カウンセラーの家に着き、トニーがインターフォンを押すと、「どうぞ!」と高いテンションで、トニーがカウンセラーに向かって言った。緊張して間違って自分から、しかも高いテンションで声を出してしまったトニーに向かって、「どうぞ! どうぞ!」と、カウンセラーとカウンセラーの奥さんがコブクロばりにハモりながら応対した。鬱病で出席できないと書かれていたが、意外なテンションの高さに驚いた。
「体調はだいじょうぶですか?」と、フトニーが聞くと、「いやぁ~、さっきロト6の2等が当たってさ!」と、カウンセラー夫妻が笑顔で応えた。それを見てトニーは、手に握りしめていた、くしゃくしゃになった福沢先生をポケットにそっとしまった。


 その後、フトニーが運転する車にカウンセラーの先生を乗せて、トニーと3人で会場に向かった。
 会場に着くと、まだ15名ぐらいが残っていた。

 1時間の講演を聞き終えて、フトニーもトニーも出席者も皆、表情には笑みがこぼれていた。いろいろな人生論、モチベーション論、ポジティブ心理学などをたっぷりと聞いた効果があったのか、あるいはカウンセラーの先生が幸運のおすそ分けとして、出席者全員に配った、くしゃくしゃになった諭吉先生の効果なのかは分からない。

0 件のコメント:

コメントを投稿