2015年9月17日木曜日

Day 20 人間万事塞翁が馬とは?-プライベートジェット物語からの考察

 トニーは今日フトニーと、フトニーの友達を迎えに空港へ行くことにした。その友達は、親の都合で10代の頃から海外に住んでいるという。久しぶりの帰国ということで、日本でフトニーならではのおもてなしをしたいとフトニーが意気込んでいた。

「バタバタバタバタバタバタ」と大きな音を立てて、先月墜落しかけたというプライベートジェットをトニーの家の庭に無理やり着陸させて、トニーを迎えに来た。「これ、ドア開いたままで操縦して大丈夫なのか??」とトニーが心配そうに言うと、「ドアを開けないと、機内が暑いからな!」と、大きくVサインと書かれた手のひらをトニーに向けて応えた。「じゃ、乗れよ! トニー!」と言われて、トニーは念のため木工用ボンドを持ってプライベートジェットに乗り込んだ。


 トニーのボンドを物ともせず、迎えに来た時よりもさらに開いたドアをグラングランさせながら、フトニーがプライベートジェットを30分ほど操縦し、空港に着いた。トニーがフトニーに、「プライベートジェットなのに、完全にノープライバシーだな、これ」と言うと、フトニーが「ジャンボジェット機に大きさでは負けるが、心はこっちの方がジャンボだ」と、鼻水をジャージャー垂らしながら言った。トニーが「フラフラしてるけど、やばいんじゃない?」と言ってフトニーのおでこに手を当てながら、フトニーに体温計を渡した。3分後、フトニーの体温が39℃。そのまま、プライベートジェットを置いて、タクシーで近くの病院に駆け込んだ。


「お薬3日分出しておきますから。安静にしておいてくださいね」と、自動音声案内で言われたフトニーは、待合室に戻った。
 待合室のテレビを見ると、緊急テロップが出てきた、「外国からプライベートジェット機と思われる小型飛行機が、ドアを全開にブランブランさせながら、急降下中」。高熱で少しフラフラ気味のフトニーは寒気を感じた。その寒気は高熱のせいなのか、画面に映っている、急降下中のプライベートジェット機から友達らしき人物が風に煽られて、操縦席から機内の外に吹き飛ばされているからなのかは分からなかった。
 フトニーは、ボンドでがっちりとくっついた物体のように、食い入るようにテレビを見ていた。すると、友達が強風で煽られながら急降下しながらも、奇跡的にドアがブランブランになってがら空きの、空港に放置してきたフトニーのプライベートジェット機にスポッと吸い込まれて無事だった様子が映し出された。それを見て安心したのか、フトニーの体温も36℃まで急降下し、1日分の薬を返して、多少の返金を受けて帰宅した。


 トニーは家に帰ると、今日の出来事を両親にすべて説明した。フトニーの友達をフトニーのプライベートジェットで迎えに行ったこと、木工用ボンドが効かなかったこと、フトニーが急に高熱を出し、病院に行ったこと、フトニーの友達もプライベートジェット機でやって来たが、全開のドアから飛び出して急降下し、死ぬかと思ったが、フトニーのプライベートジェット機の全開になったドアに助けられたことなど。
 その話をした後、トニーの父さんがトニーに言った、「目には目を、ドア全開プライベートジェット機にはドア全開プライベートジェット機を、という諺を覚えておきなさい」。

 トニーは寝る前に、フトニーのユーチューブの動画チャンネルを見ると、先ほどのシーンの動画がアップロードされていた。どうやら、フトニーのプライベートジェットの自動動画撮影機能で撮った動画をアップしていたらしい。2時間前にアップロードしたばかりの動画の再生数は、既に1000万回を超えていた。コメント数も23千を超えていて、凄まじい。コメントでもこの出来事の凄さがよく伝わってきた:
・「なにこのありえない映像 wwwww
・「開きっぱのプライベートジェットって www しかも何でそこに人が空から落ちてくるの wwwwww
・「この奇跡の動画を見て、ニートを止めて働く気持ちが湧いてきました! 僕も明日からユーチューバーになります!」
・「これ、確かに広告だけでやばいぐらい稼げるんじゃない www ってか、こんな動画一般人の俺には絶対無理ゲーだけど wwwww
・「俺も車だけど、ちょっとドア壊してくるわ www
・「儲かってすいませんm(__)m

 最後のコメントはフトニー本人のコメだったが、確かにこれは儲かるだろう。懸賞運が奇跡的なだけじゃなくて、こういう技術もフトニーは持っているから恐ろしい。こんな大事件でフトニーも友達も事故死するかという場面ですら、これだけのビッグイベントにつなげて、しかも一瞬で大金を稼ぐという…。

 まさに、人間万事塞翁が馬。人生なんて、最後まで何が起きるかわからない。

0 件のコメント:

コメントを投稿